第8章「高校生時代(17歳)Cパート」
夏休みを終え、気付けば2年目の文化祭が目前となっていた。去年は階段装飾しかできなかったが、この年からは各クラスでやりたいことを自由に提案できるようになった。俺はとりあえずアニメの文化祭っぽいことが出来れば何でもよく、皆から色々意見が出た中で決まればいいなと考えていた。忘れてる人もいるだろうが、俺はまだアニメのような高校生活を送るという野望を完全には捨てていなかった。
話し合った結果、クラスの出し物は「縁日っぽいもの」で採決された...正確には特に話し合ったワケではなく、俺一人が提案したものがそのまま採用されたという感じだったが。俺は文化祭や体育祭のような大きな行事は積極的に取り組む性格なので、数少ない協力者とせこせこ装飾作りに勤しむのであった。余談だが、俺たちが一所懸命作業に従事していれば、やる気の無い奴も多少手伝ってくれると俺は思っていた。が、感情の無いロボット共はそんなこと目にもくれないのであった。
結構夜遅くまで残る日も多かったが、なんとか無事文化祭までには作業を間に合わせることが出来た。若干幼稚なデザインではあったが、それもまた味というやつだろう。写真が無いのが残念だが、俺は同じ弓道部のT賀とS藤とマスコットキャラ「ダンボー」の着ぐるみ?を作っていた。
知らない人もいるかもしれないので少し触れるが、「ダンボー」とはあずまきよひこ先生の漫画「よつばと!」に出てくるロボットのことである。
文化祭は大きなトラブルが起こることなく、いい感じで終わらせることが出来た。俺や作業に徹していた人は達成感に満ち溢れていたのだが、全く協力してこなかった連中が盛り上がっているのを見て、俺は複雑な感情が沸いた。
ツマンネー学校生活はさらにヒートアップしていく。文化祭が終われば待っているのは修学旅行だ。俺はこれほど待ち望んでいなかった修学旅行は初めてだった。班員に仲のいいK心、T田を迎えるもホームルームデーで付いてきたK心の連れがまた俺のストレス要因となったのだ。
普通、修学旅行の夜といえば男子は騒ぎだし、女子は恋バナに華を咲かせることだろう。だが俺の班、主に俺の初日の夜はそんなイベントなど発生しなかった。同じ宿泊者であったT優と俺は接触を試みるも、無口なそいつはうんともすんとも言葉を返してくれなかった。会話のキャッチボールというよりはドッジボールという方が正しいだろうか。結局その晩はお互い会話という会話を一切しなかった。ちなみに翌日、寝坊し朝食に遅れた俺たちは先生の電話で起こされるのであった。
翌日は半日かけて博多市内を散策した。街自体はとてもよかったのでまた機会があれば行ってみたいと思う。出来れば1人で。
個人的に嬉しかったのは俺の大大大好きなアニメ「ゆゆ式」の舞台「福岡女子高校」をこの目で見ることが出来たということだ。もっと近くに行きたかったのだが、班員が興味なさげだったので諦めた。
これはキャナルシティで撮った写真だ。
この後俺たちは広島へ行った。駅に降りて早速向かったのは紅葉饅頭で有名な厳島神社だ。ここもまた綺麗な場所だったので、また機会があれば行ってみたい。出来れば1人で。
それまで班員全員を盛り上げるため様々なフリを回してきた俺だったが、一切リアクションを取らない連中に俺はとうとう吹っ切れた。なぜ無口なそいつらの為に俺が無理して盛り上げなくてはいけないのか?この辺りから俺は単独的な行動を取るようになった。
この晩はK心と一緒の部屋だったので色々話ができた。やっと修学旅行っぽいことが出来たと思った。
翌日は原爆ドーム、松江城に行った...これはもうどうでもいいね。この日最後の夜を迎えた俺たちは班員全員が1つの部屋に泊まった。例によって会話が盛り上がったのは俺、K心、T田の3人だけなのだが。
そして修学旅行最終日、やっとこの日を迎えることが出来た俺は喜びでいっぱいだった。最後は出雲大社に行ったのだがそんな記憶などもうない。俺はいつ帰れるかで胸がいっぱいだった。そして午後、ついにその時はやってきた。やっと家に帰れる!俺はこの時始めて純粋な笑顔を浮かべた。
こんな感じで俺の波乱に満ちた修学旅行は幕を閉じた。個人的に一番いい意味で印象に残っている出来事は事前にU-NEXTでダウンロードしておいた「交響詩篇エウレカセブン」をバス車内で一気見したことくらいだ。あの時間だけは良かった。
高校生時代(17歳)Dパートへ続く