はろの毎日

日々の成長

はろペン自伝 3部 その8

第9章「高校生時代(18歳)Bパート」

俺は焦っていた。2年生の夏休みから進学に進路を変更したものの、そこから半年間、俺は自分の行きたい大学はおろか何をしたいかすらまだ決めていない状態だったのだ。もうすぐ3年生になろうというのにこのままではマズい。かといってやりたいことが全く思い浮かばなかった俺は日に日に焦燥感に追われるのであった。

工業生であれば工業の大学に行くのが道理というやつだ。事実、俺以外の進学者は全員「~工科大学」や「~工業大学」と名のつく大学へ目標を定めていた。しかし、俺は出来ればもう二度と工業には関わりたくなかったのでそういった大学には一切目を向けないようにしていた。福祉、経済、宗教...工業以外の道を見つけようとしたもののどれもいまいちピンとこないものばかりだ。半ば諦めかけていた俺はこの時偶然「T海大学 K洋学部」のオープンキャンパス情報を知ったのだった。

「T海大学 K洋学部」は静岡県内にあり、日本でも数少ない海について研究する学科だ。そのため、県内でもかなりの知名度を持っている。そんな大学のオープンキャンパスが3月に行われるというのだ。ヤケクソ気味だった俺は何も考えずそこへ行ってみることにした。一応ママペンにだけはこのことを伝えておいた。

そして当日、やはり知名度が高いだけあって多くの学生が見られた。オープンキャンパスというよりはちょっとした学園祭のような感じで、親御さんの姿もちらほらあった。校舎はボロッちいものの、雰囲気はまずまずといったところだろうか。俺はとりあえず9つある学科がそれぞれどういった研究をしているのか聴いてみようと思った。

様々な学科説明を聴くなかで俺は「海洋生物学科」というものに興味を持った。そこは名前の通りイルカやクジラなどの海洋生物を調査する学科だ。恐らく「K洋学部」と聞けばほとんどの人が真っ先に思い浮かぶ学科だろう。そのためか例年全学科の中でも倍率がずば抜けて高いらしい。

このオープンキャンパスを通して俺は初めて自分自身の将来像が浮かび上がった。妥協して工業大学に行くよりイチかバチかでこの道を選択するのもアリなのではないか?帰ってきた俺は早速両親にそのことを報告するのであった。

ママペンは「はろペンがやりたいと思ったことなら止めないよ」と一言。一方パパペンはというとなんだか険しい表情をしていた。それもそのはず、それまで工業を勉強していた息子が突然海洋について学びたいと言い出せばそうなるのも当然だろう。ただそこで根負けしてしまえば全てがパーになってしまうので俺はそれまで自分が考えていたこと、自分の将来についてなどを余すことなく全て話した。

結果両親の承諾は得た。あとはそれに向かって勉強するのみ...なのだがここで俺は大きな失態に気づいた。K洋学部のAO、推薦入試における試験科目の中に「生物」が含まれていたのだ。3年の授業は各自進路にバラつきがあるため、それに合わせて事前に受けたい授業を選択するのだが、その時の俺は生物なぞ選んではいなかった。今更変更なんて出来るはずもなく、俺は独学で勉強せざるを得ない状況に陥ってしまったのだった。

第9章「高校生時代(18歳)Cパート」へ続く